逆流性食道炎

逆流性食道炎とは？

逆流性食道炎とは、胃酸や十二指腸液が食道に逆流し、食道粘膜を傷つけることで起こる病気です。胸やけや呑酸（どんさん：酸っぱいものが口に上がってくる）などの症状が特徴的で、放置すると食道がんのリスクも高まるため注意が必要です。
食事を含めた生活習慣、姿勢の習慣、体型などに起因して発症し、これまであまり日本人には見られなかった逆流性食道炎が近年増加傾向にあります。
その大きな要因は、食事の内容が欧米化したことや、ファーストフードや味の濃いラーメンなど高脂肪食メニューが広がったことだと言われています。本来胃酸に触れることがない食道は、強い酸性を示す胃酸に対してバリア機能を持っていません。そこにさまざまな原因によって胃酸の逆流が繰り返されることで、ただれや潰瘍が生じ、胸やけなどの症状を引き起こします。

逆流性食道炎の原因

逆流性食道炎の原因としては、以下のものが挙げられます。

逆流性食道炎の症状

逆流性食道炎の主な症状は以下の通りです。

逆流性食道炎の検査方法

逆流性食道炎の診断には、以下の検査が行われます。

逆流性食道炎の診断には世界的に頻用されているロサンゼルス分類に沿って、胃カメラで食道炎の程度を6段階（グレード「N」→「M」→「A」→「B」→「C」→「D」へと進行）で評価します。

当院の逆流性食道炎の治療

逆流性食道炎の治療は、生活習慣の改善と薬物療法が中心です。

生活習慣の改善

• 小食を心がける
• 脂肪分の多い食事、刺激物、アルコール、カフェインを控える
• 食後すぐに横にならない
• 肥満の人は減量する
• 便秘の改善をする
• 喫煙をやめる

薬物療法

予防

逆流性食道炎の予防には、以下のことが大切です。

逆流性食道炎の予防

バレット食道

バレット食道とは？

バレット食道とは、慢性的な逆流性食道炎が原因で、食道の粘膜が胃の粘膜のような状態に変化してしまう病気です。食道は本来、扁平上皮という細胞で覆われていますが、バレット食道では、この部分が胃の粘膜と同じような円柱上皮に変わってしまいます。

バレット食道の原因

バレット食道の主な原因は、逆流性食道炎です。胃酸が繰り返し食道に逆流することで、食道粘膜が傷つき、修復される過程で胃の粘膜のような細胞に変わってしまうのです。

バレット食道の症状

バレット食道自体は自覚症状がないことがほとんどです。しかし、原因となる逆流性食道炎の症状である、胸やけ、呑酸、胸痛、喉の違和感などを伴うことがあります。

バレット食道の危険性

バレット食道は、そのまま放置しておくと、食道がんのリスクが高まることが知られています。特に、バレット食道の範囲が広い場合や、長期間続いている場合は、注意が必要です。

バレット食道の検査

バレット食道の診断には、以下の検査が行われます。

内視鏡検査

胃カメラで食道を観察し、粘膜の変化を直接確認します

組織検査

視鏡検査で採取した組織を顕微鏡で調べ、バレット食道かどうかを確定します。

バレット食道の治療

バレット食道の治療は、主に逆流性食道炎の治療と定期的な検査になります。

薬物療法

プロトンポンプ阻害剤（PPI）など、胃酸分泌を抑える薬を服用して、逆流を抑制します。

生活習慣の改善

喫煙をやめ、刺激物や脂肪分の多い食事を控え、規則正しい生活を送ることが大切です。

定期的な検査

内視鏡検査を定期的に受けることで、早期にがんを発見し、治療を開始することができます。

バレット食道と食道がんの関係

バレット食道は、食道がんの中でも腺がんと呼ばれる種類の発生リスクを高めます。腺がんは、胃がんによく見られるタイプのがんで、早期発見が難しいという特徴があります。