
食道がん
食道がん
食道は、のど(咽頭)と胃をつなぐ管状の臓器で、口から食べた食物を胃に送る働きがあります。食道がんは、約半数が食道の中央付近に発生し、次に食道下部に多く発見され、時に多発する場合もあります。
毎年、10万人に35人(男性30人・女性5人)が新たに診断されているがんで、男性の発症が多くなっています。年齢別でみると、50歳代から増加を始め、70歳代でピークを迎えます。食道がんは、主に日本人で特に多い扁平上皮がん(食道がんの90%程度)と、欧米人に多い腺がん(5~10%程度)に大別されます。
食道がんは飲酒や喫煙が主な危険因子と考えられています。
さらに喫煙と飲酒の両方をされている方は、より危険度が高まり、熱いものを飲食することも危険度を高めるとされています。一方、腺がんは、逆流性食道炎やバレット食道などの食道の慢性炎症を背景としており、欧米では食道がんの半数以上を占めていて、近年では、食生活の欧米化や肥満の増加に伴い、日本でも増加傾向にあります。
扁平上皮は口腔から食道までつながっており、食道がんは頭頸部がん(咽頭がん、喉頭がんなど)と重複して発生することもよくあります。また胃がんとの重複も珍しくありません。こうしたことから、当院では胃カメラ検査の際に、内視鏡スコープが通る喉や口腔の粘膜もしっかり確認しています。
日本人に多い組織型である扁平上皮の食道がんは、「喫煙」と「飲酒」が大きなリスクとなります。
喫煙と飲酒習慣の両方がある場合、そのリスクは相乗的に増加することがわかっています。
また、遺伝子的にビール1杯程度で顔がすぐに赤くなったり、頭痛がしたりする人は、食道扁平上皮がんのリスクが高いことが知られています。
欧米に多い腺がんの場合には、胃食道逆流症によって食道の組織が胃の組織に置き換わることがリスクとなります。
また、肥満もリスクであるとされており、近年、日本においては喫煙者が減ることで扁平上皮がんが減ると予想される一方で、生活習慣の変化によって腺がんが増加することが予想されています。
早期では無症状ですが、進行すると食べ物を飲み込むときに胸がしみる感じ、つかえる感じ、胸痛が生じます。
がんが進行するにつれて、飲食時の胸の違和感(ちくちくした感じ、しみる感じと表現することが多く、これらは一時的に消長することもあります)、飲食物がつかえる感じや、つかえによる摂食不良と消耗性の体重減少、周囲臓器への進展・浸潤による胸や背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状が出ます。胸や背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状は、肺や心臓、のどなどの病気でもみられますが、肺や心臓やのどの検査だけでなく、食道も検査することが大切です。
早期に発見できれば内視鏡治療を含む低侵襲な治療が選択可能となります。
飲酒や喫煙をされる方やバレット食道を指摘された方は、定期的に胃内視鏡検査を受けることをお勧めします。
早期の食道がんの発見や確定診断には、胃カメラ検査が不可欠です。特に微細な早期の食道がん発見には、高度な最新の内視鏡システムと、それを使いこなせる経験豊富な専門医による胃カメラ検査が必要です。当院では、毛細血管分布や粘膜表層の構造を強調表示できる大学病院並みの高度なシステムを使い、専門医が丁寧な検査を行っています。安心して検査を受けられるよう、検査を受けられる方の目線に立って配慮しておりますので、安心してご相談ください。
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