2025年7月10日

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)
「名前は聞いたことがあるけど、自分には関係ない」と思っていませんか?
実はピロリ菌は、胃の健康を大きく左右する重要な存在です。
◆ ピロリ菌ってなに?
ピロリ菌は胃の中にすみつく細菌で、胃酸の強い環境でも生き延びられる珍しい菌です。
感染は主に幼少期(5歳までに感染すると言われています)に起こり、日本では少なくとも3000万人以上が感染しているといわれています。
◆ ピロリ菌が引き起こす病気
ピロリ菌は、以下のような疾患のリスクを高めることが知られています
慢性胃炎
胃・十二指腸潰瘍
胃がん
胃MALTリンパ腫
特に注目すべきは胃がんとの関連です。
WHO(世界保健機関)は、ピロリ菌を「確実な発がん因子(グループ1)」としています。
胃がんの原因のほとんどはピロリ菌が原因と言っても過言ではありません。このため、日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、ピロリ菌感染者のすべての方に除菌療法を受けることが強く勧められています。
ピロリ菌は自覚症状がなくても感染に気づかないケースが非常に多いのですが、放っておくと慢性的な胃炎が進行し、数年〜数十年後に潰瘍や胃がんを引き起こす可能性があります。
早期発見・早期除菌で、将来の病気(胃癌・胃潰瘍など)を予防できます。
ピロリ菌に感染していた場合は、抗生物質と胃酸分泌抑制薬による除菌治療が行われます。
除菌成功後は、胃の炎症が改善され、将来的な胃がんのリスクも大幅に低下します。
ピロリ菌の検査は、胃がんの家族歴のある方や胃・十二指腸潰瘍の既往歴のある方は大切な検査です。
検査をご希望の方は外来でご相談ください。