2026年3月26日

「最近、おならの回数が増えて、四六時中お腹が張っている」 「会議中や出かけ先でおならが出そうになり、冷や汗をかくことがある」
「おなら」の悩みは、ご家族や親しい友人にも相談しにくく、お一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、実は医療機関を受診される患者様の中でも、非常に頻度の高い、切実なお悩みの一つなのです。
おならは生理現象ですが、急に増えたり、不快な症状を伴う場合は、身体からの何らかのサインかもしれません。おならがよく出る原因と、見逃してはいけない病気について、専門医の視点から解説します。
1. おならが増える「4つの主な原因」
おならが過剰に出る原因は、生活習慣から病気まで多岐にわたります。
① 食生活と腸内環境の乱れ
最も多い原因です。肉類や脂っこい食事(タンパク質・脂質)に偏ると、腸内の「悪玉菌」が増殖します。悪玉菌は食物を分解する際に、硫化水素やアンモニアなどの臭いの強いガスを大量に発生させます。 また、体に良いとされる食物繊維(特に不溶性食物繊維:根菜類や豆類など)も、急に摂りすぎると腸内細菌による分解が追いつかず、一時的にガスを増やします。また良かれと思って摂取したサプリメントにも副作用でガスを発生させてしまう効果もあります。
② 呑気症(どんきしょう・空気嚥下症)
食事を早く食べる癖がある人、炭酸飲料をよく飲む人、またストレスを感じやすく無意識に唾を飲み込む回数が多い人は、一緒に大量の空気を胃腸に送り込んでいます。これがゲップやおならの元になります。
③ 便秘
便が腸内に長く留まると、悪玉菌による発酵が進み、ガスが溜まり続けます。さらに、便自体がガスの通り道を塞いでしまうため、お腹が張り、おならが出やすくなります。
④ 腸の機能低下(加齢や運動不足)
腸の蠕動(ぜんどう)運動が弱くなると、ガスをスムーズに直腸へ送れなくなり、腸内にガスが充満します。
2. 注意が必要な「おなら」と、隠れた病気
おならの回数が多いだけでなく、以下のような症状を伴う場合は、消化器系の病気の可能性があります。決してお一人で悩まず、当院にご相談ください。
A. お腹の張りを伴う場合(過敏性腸症候群:IBS)
検査をしても腸自体に炎症や腫瘍がないのに、腹痛やお腹の張り、下痢・便秘を繰り返す病気です。ストレスや自律神経の乱れが原因で、腸が過敏になり、ガスが溜まりやすくなります。
B. 臭いが非常にきつい場合(慢性胃炎、胃潰瘍など)
胃の機能が低下し、食べ物が十分に消化されないまま腸に送られると、腸内で異常発酵が起き、悪臭を放つガスが発生します。
C. 血便や便が細くなる場合(大腸がん、大腸ポリープ)
大腸に腫瘍(がんやポリープ)ができると、腸管が狭くなり、便やガスが通りにくくなります。おならの回数変化が、大腸がんの初期症状であることも少なくありません。
おならが気になることに加え、「血便(便に血が混じる)」「便が細くなった(便柱細少)」「最近、急に便秘と下痢を繰り返すようになった」「体重が減った」といった症状がある場合は、大腸内視鏡検査が必要です。
3. クリニックで行う検査と治療
当院では、おならの悩みの原因を根本から調べるため、以下の検査を行っています。
問診・触診: 日頃の食生活や症状の出方を詳しく伺い、お腹の張り具合を確認します。
血液検査・腹部X線検査: 炎症の有無や、腸内のガスの溜まり具合を確認します。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ): 最も重要な検査です。肛門から内視鏡を挿入し、大腸の粘膜を直接観察します。大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患がないかを診断します。当院では、苦痛の少ない内視鏡検査を行っておりますので、ご安心ください。
一人で悩まず、まずはご相談を
おならは、体調や食生活を映す鏡です。生活習慣の改善で治るものもあれば、早期発見が重要な病気のサインであることもあります。
「恥ずかしくて病院に行きづらい」というお気持ちはよくわかります。
少しでも不安を感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。
せがみ消化器・内視鏡クリニック 院長 瀬上 航平