
ピロリ菌検査
ピロリ菌検査
ピロリ菌(正式名称:ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の中に生息する細菌のことで、これに感染すると胃の粘膜が炎症を起こし、その結果、胃の粘膜が萎縮して様々な病気を発症するリスクを高くさせます。
胃は、食物を消化するための重要な器官であり、その内部には多くの胃酸が分泌されています。ピロリ菌は、この強い胃酸の中でも生き残ることができる数少ない細菌の一つです。この菌が胃の粘膜に感染すると、胃の自然な防御機能が低下し、炎症や潰瘍を引き起こすことがあります。
日本では年齢とともにピロリ菌に感染している割合が増えていき、40歳以上では約70%の感染率とされています。
感染経路についてはもっとも多いと言われているのが家族(親)から子供への家庭内感染で
多くが5歳までの幼少時に感染します。
ピロリ菌が胃の中に生息することで発生する病気としては、胃・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃がんなどが代表的です。
日本では胃がんの約99%がピロリ菌感染によるものです。日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、ピロリ菌に関連する疾患の治療および予防のため、ピロリ菌感染者のすべてに除菌療法を受けることが強く勧められています。ピロリ菌を除菌することは、胃がんの発症リスクを低減させることにもつながりますので、感染が確認されたら直ちに除菌治療を行いましょう。
ピロリ菌に感染した初期は特に症状が現れないことが多いです。
ピロリ菌感染が長期となり慢性化すると、次第に胃粘膜がダメージを受けて萎縮性胃炎に繋がり、胃もたれ、胃痛、食欲不振、上腹部不快感、上腹部痛、吐き気、腹部膨満感などの症状があらわれます。萎縮性胃炎がさらに進行すると、胃粘膜が「腸上皮化生」という胃がんを発症しやすい状態に変わってしまいます。腸上皮化生の状態となっている場合には、最も胃がんが発生するリスクが高い状態ですので、定期的な検査が必要です。
ピロリ菌感染の検査には、内視鏡により採取した胃の組織を必要とする検査法と、必要としない検査法があります。検査1つだけでは偽陰性の場合もあるため、疑わしい際は複数の検査法を組み合わせて診断します。
採取した組織を顕微鏡で確認します。
採取した組織を特殊な試薬で染色し、色の変化からピロリ菌に感染しているかどうかを確認します。
採取した組織を培養して、感染しているかどうかをチェックします。検査結果が分かるまでに1週間程度必要です。
ピロリ菌に感染した場合、体内で菌に対する抗体が生成されます。尿や血液に抗体が含まれているかを確認することで、感染の有無を調べます。
ピロリ菌が体内で尿素を分解する性質を利用した検査方法です。尿素を含む特別な液体を飲んだ後、呼気中の二酸化炭素の量を測定することで、ピロリ菌の感染を確認します。
ピロリ菌は胃粘膜に感染しますが、一部の菌は便と一緒に排出されます。そのため、便中のピロリ菌の有無を調べることで、感染しているかどうかを確認します。
ピロリ菌の除菌治療は、一般的には1種類の「胃酸を抑える薬」と2種類の「抗生剤」の合計3剤を併用した治療を行います。薬は1日2回、7日間内服していただき、1回目の除菌治療から2ヶ月ほど経ってから、除菌判定を実施します。1回目の除菌で約80~90%の方が除菌に成功します。
抗生剤を内服すると下痢を発症しやすくなるため、当院では必ず整腸剤も同時に処方いたします。
ピロリ菌の感染経路は完全には解明されていませんが、家庭内感染や食物・水を介した感染が考えられています。また、感染のリスクは衛生環境や生活習慣にも関連しています。
ピロリ菌は、胃がんのリスクを高める可能性があるとされています。日本では胃がんの約99%がピロリ菌感染によるものとも言われています。定期的な健診や検査を受けることで、早期発見・早期治療が可能となります。
除菌治療は通常1回で効果的ですが、治療が完全に成功しなかった場合は再治療が必要となることがあります。
治療後も胃に優しい食事を心がけ、過度な飲酒や喫煙を避けることが推奨されます。また、定期的な健診を受けることで、再発のリスクを低減することができます。
ピロリ菌除菌が成功すると胃がんの発生リスクは50%程度低下しますが、完全にリスクがゼロにはなるわけではありません。ピロリ菌除菌が成功した方こそ、定期的な胃内視鏡検査を受けていただき、胃がんの早期発見に努めましょう。
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